教員紹介
大関 浩准教授
専門分野:転がり機械要素・工作機械
- 主な担当科目
- 基礎機械設計、機械設計、基礎機械製図、機械製図、CAD演習、応用機械設計製図
研究業績など:千葉工業大学 研究者情報
- 研究室概要
- 日常使用する工業製品は安くて壊れにくいことが求められる。この要求を満足するためには製品の作り方や評価方法を開発の初期段階から考えて設計をしなければならない。作り方や評価方法が完成品にどのような影響を及ぼすかを明らかにし、それを実際の設計にどのように盛り込むかを研究している。
- 研究キーワード
- 加工学、機械設計、製品開発、設計方法、工作機械、転がり軸受、直動転がり案内
1.工作機械摺動面のグリース潤滑に関する研究
工業製品を構成する部品の多くは機械加工によって製作されている。この機械を工作機械と言い、加工工具の移動軌跡を正確な直線や円弧とするために、摺動面と言う3軸のすべり案内面を有している。摺動面には摩擦係数の低減を目的として使い捨ての潤滑油が供給されていたが、環境負荷の問題や購入コストの面で使用量の削減が求められている。この対策として、摺動面に付着性能に優れるグリースを供給することが考えられるが、隙間に浸透する能力は期待できないため、摺動面の表面性状やグリースを拡散させるための油溝形状の最適化について研究している。
グリース拡散面積
グリース油膜分布状態
試験装置
2.直動転がり案内の潤滑機構に関する研究
直線運動を行う転がり機械要素を直動転がり案内と呼び、循環する玉を用いて移動抵抗を小さくしている。玉は整列して循環するが、それぞれの玉が同じように自転しているわけではない。供給した潤滑油がどのように拡散していくのかを明らかにして、効率の良い潤滑技術を確立することを目的として、玉の挙動を高速度カメラやレーザセンサを用いて解明している。現在、転動体は循環運動をしながら複雑な挙動を示すことが明らかになっており、これは潤滑油を不規則な方向に拡散する効果が期待できることから、この挙動を潤滑技術に利用できないかを検討している。
直動転がり案内の例(断面)
解析画面と高速度カメラ画像
玉のスピン軸座標解析
3. 直動転がり案内の接触面圧に関する研究
直動転がり案内は長期間の使用によって玉の接触する面が金属疲労によって破損し、その破損部位に偏りがあることが明らかになっている。しかし、その原因を明らかにする研究は行われていない。本研究では、玉の通過部分にセンサを取り付けることで破損しやすい部分としにくい部分の力の受け方の違いを明らかにしている。現在,破損しやすい部分は力の変化量が大きく、変化する時間も短いことがわかってきている。
玉通過時の負荷変動
3D-CADによる玉の挙動解析