江尻 英治教授
研究室
(キーワード:流体工学、流体機械、燃料電池、トルクコンバータ、垂直軸風車)
大きく分けると,燃料電池関連テーマ(①②)と流体機械関連テーマ(③④)がある.
1.パッシブ形燃料電池の性能に関する研究
通常の加圧式の燃料電池に比べて,加湿/冷却系や圧縮機が不要でシステム簡略化が可能であるというメリットがある.アウトドア用や家電機器用の簡易電源として実用化するための技術的な検討を行う.薄板状の電池モジュール本体の設置姿勢によっては長時間運転すると流路に水がたまり,発電不能となることなどが解決すべき課題である.発電性能は,空気極近傍の流れ(圧力,流速)や温湿度に敏感であるので,様々な条件下で連続運転を実施する実験を行っている.
燃料電池モジュール試作品
モジュール表面の温度分布
2.ダイレクトメタノール形燃料電池の二相流に関する研究
DMFCは,水素の代わりにメタノールを直接供給するため改質器が不要なこと,燃料が液体のため取り扱いが容易であることなどの利点があり,システムを小型化することができる.このため携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器の電源への利用が期待されている.本研究は,発電時に燃料極側で発生するCO2気泡や空気極で発生する水滴に着目し,これら二相流の挙動と発電性能との関係について実験的に調べている.
DMFCの発電原理
可視化用DMFC単セル
燃料極流路内のCO2気泡流
3.垂直軸クロスフロー風車の性能に関する研究
風力発電はクリーンで持続可能なエネルギーの有力候補のひとつであり,中でも垂直軸クロスフロー風車は安全性,静音性に優れた都市型風車として注目を集めている.一方,この風車はランナー単体で使用した場合,他の風車と比べて効率が低いという問題がある.効率を向上させるためには,数値流体解析(CFD)や実験により風車内部の流れの挙動を知ることが重要である.流れが性能に及ぼす要因を明らかにし,具体的な性能向上案を提示することが当面の目標である.
垂直軸クロスフロー風車
二次元の流れ解析結果
4.トルクコンバータのロックアップクラッチの動特性に関する研究
自動車の燃費向上のためにロックアップ領域の拡大が必要となるが,現状では十分な予測技術が確立されていない.本研究では,機械要素の流動特性計測実験と非定常の流れ解析によってロックアップクラッチの挙動予測技術の精度向上を目指している.
トルクコンバータの全体モデル
ロックアップクラッチの流体解析モデル