小林 政信教授
研究テーマ
(キーワード:人工格子材料,磁性薄膜)
(人工格子材料)
(磁性薄膜)
人工格子でのマテリアルデザイン
錬金術に代表されるように,人工的に物質を創り出すという人類の長年の夢が,現実のものとなる時代を迎えている.近年の科学技術の飛躍的な進歩により,我々は原子・分子さらには電子を思いのままに操作する手段を手に入れようとしている.そのような手段をもとに研究されるのが人工格子材料である.人工格子材料は,物質の種類やサイズあるいは構造を原子レベルで制御することで人工的に物質を創製しようとするものであり,将来の材料の姿と言っても過言ではない.
人工格子材料は,原子単位での結晶成長制御が可能となった近年の薄膜作製技術の発達によるところが大きく,たとえば異種の物質を数原子層ずつ交互に積層した構造はその代表例である.人工物質の創製を目指した研究分野においては,このような積層構造を有する人工格子材料が最も盛んに利用されており,積層構造にすることで, (a)超周期効果, (b)界面効果,(C)層間相互作用,(d) 2次元性,(e)閉じ込め効果,(f)空間分離効果,などの効果が期待され,これらの複合的利用により,新規物性・機能性を持った材料開発が可能となる.光学素子,超伝導物質,水素吸蔵合金,そして,磁性材料と数多くの分野で人工格子材料研究が始まっている.特に,磁性人工格子の分野では,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果の発見,および,それを用いた高密度光磁気記録媒体や高性能磁気ヘッドなどの高機能の磁気デバイスの開発が行われており,現在の磁性材料研究の中心的な役割さえも担っている.