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研究室紹介

大谷 親助教

研究室

(キーワード:トライボロジー・機械設計)

 本研究室では,大きく分けて二つのテーマに取組んでいる.一つ目は,トライボロジーに関連したテーマで,二つ目は,接着及び粘着に関連したテーマである.

Ⅰ.トライボロジー関連した研究

 トライボロジーとは,摩擦・摩耗・潤滑に関係のある研究分野を総称する学術用語である.現在,乗用自動車の約85%以上が,AT(Automatic Transmission)車である.トランスミッションは,エンジンの出力を効率良く車輪に伝達する重要な機械要素である.その動力伝達および遮断時に使用されている湿式ペーパ摩擦材について研究している.

 湿式ペーパ摩擦材は,乗用自動車の乗り心地を左右する重要な摩擦材である.研究では,湿式ペーパ摩擦材の良好な性質を解明することを目的にしている.

 まず,一般に摩擦力は材料同士の接触によって発生するため,その接触状態を把握することは重要である.そこで,接触状態を直接観察できる接触面顕微鏡を用いて,ぺーパ摩擦材の接触状態を微視的に観察する.

 次に,摩擦実験は,設計製作した摩擦面が観察できる摩擦試験装置を用いて,高速回転で摩擦している状態から回転が停止するまでの摩擦界面の様子を,高速度カメラを用いて連続的に撮影し,摩擦界面の状態とそのときに発生する摩擦力との関係を考察する.

 以下に現在取組んでいる研究テーマを記す.

  • 接触面顕微鏡を用いた真実接触点の観察
  • 摩擦界面に発生する気泡に関する研究
  • ヘルツの弾性接触面積と摩擦力との関係

Ⅱ.接着に関連した研究

 接着剤は,被着材の材質や形状を選ばず,また微量で接着できるという長所がある.しかし,現在,接着剤が問題視されている点は,接着強度のバラツキ,接着層の固化時間と時間の経過に伴う寸法の変化である.

 接着剤を部品の締結の代替として使用する際,接着強度のバラツキが大きいと,使用する方は安全を考慮して引張り強度の最も低い値で設計することになる.この様に,本来接着剤が持っている能力を発揮しない状態で使用されているのが実情である.

 そこで,このバラツキの要因を追求することが研究の目的の一つである.

 一方,接着剤の固化時間と接着層の寸法の経時変化について,前者は要素の組立工程において,接着剤に要求される強度になるまでに時間がかかり過ぎると使用不可です.シアノアクリレート系に代表される一液性の接着剤や紫外線の照射で固化するアクリル系の接着剤が部分的には使用されているが,まだ一般的な使用に至っていない.また,後者の寸法の計時変化については,高精度な位置決めが要求される要素間の固定に接着剤を使用するときに要求されることは,接着後に時間経過に伴って接着層の寸法が決められた公差の中に収まることが絶対条件である.この接着層の厚さの経時変化を,シアノアクリレート系とエポキシ系の接着剤を試料として用い0.1μmのオーダで計測している.

図1 接着層の厚さの形成
図1 接着層の厚さの形成

図2 衝撃接着強さ試験装置の概略図
図2 衝撃接着強さ試験装置の概略図

 さらに,JISの試験法の一つに衝撃接着強さ試験がある.一般の構造物を考えたとき,接着した部分には引張りや圧縮や剪断といった外部応力が作用している場合が多くある.先述のJISの試験法には,外部応力が付加した条件での試験はできない.本研究では,外部応力として,引張り応力とねじり応力が負荷できる,さらに双方の応力を任意の大きさで負荷できる衝撃試験機を設計製作した.この試験機を用いて,一般用と耐衝撃用として市販されているシアノアクリレート系接着剤について,外部応力の有無の条件で衝撃試験を行い,本試験機が衝撃接着強さを評価する試験機として満足できるものであるかを求める.

 図2に試験機の概略図を示す.

 以下に現在取組んでいる研究テーマを記す.

  • 接着強さのバラツキに関する研究
  • 接着層の寸法の経時変化に関する研究
  • 衝撃接着強さに関する研究
  • 粘着テープの力学的性質について

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