齋藤 哲治教授
研究テーマ
(キーワード:磁性材料,アモルファス材料,水素吸蔵合金)
(1)磁性材料の開発
磁性材料は材料のもつ磁化を利用した工業材料であり,テレビ,オーディオ,コンピュータ,電話など電気・情報機器に幅広く使用されている.磁性材料はその磁気特性により,変圧器や磁気ヘッドなどに使用されるソフト磁性材料,カードやフロッピーなどに使用される磁気記録材料,小型モーターやスピーカーなどに使用されるハード磁性材料などに分類される.これらの磁性材料には高い磁化を有する鉄やコバルトなどの金属をベースとした材料が使用されている.本研究室ではハード磁性材料のうち,高性能な磁石材料の研究開発を行っている.
このハード磁性材料の主な用途としては小型モーターであるが,最近は医療用(MRI)やハードディスク用のボイスコイルモータ(VCM)として高性能な磁石材料が使用されている.また,ハイブリッド自動車用大型モーターにも高性能な磁石材料が使用されている.
(2)水素吸蔵合金の開発
水素吸蔵合金は,水素を吸蔵したり放出したりできるユニークな合金で,ニッケル水素二次電池の極板に使われている.これらの水素吸蔵合金には水素と反応しやすい金属Aと水素と反応しにくいが触媒的な働きをする金属Bの合金が使用される.本研究室では新しい水素吸蔵合金の開発研究を行っている.
この水素吸蔵合金の主な用途としてはポータブルMD,デジタルカメラ,携帯電話,ノートパソコン用のバッテリー(小型ニッケル水素二次電池)である.特に最近はハイブリッド自動車用大型二次電池などへの応用も期待されている.
(3)アモルファス材料の開発
アモルファス材料は,通常の材料のように結晶が整列していない特殊な構造を持っている.そのため,通常の材料とは異なり,高い耐食性や良好な磁気特性などを示すことが知られている.これらのアモルファス材料は一般には超急冷法で以下のようなリボン(薄帯)として製造されている.
このアモルファス材料の主な用途としては変圧器(電力用トランス)がある.また,最近はリボンだけではなく,バルク状(固体)のアモルファス材料も開発され,その応用が広がりつつある.