高橋 芳弘准教授
研究室
(キーワード:機械力学、振動工学、シミュレーション)
1.車輪とレールの接触に関する研究
近年の鉄道車両は,高速性・快適性・安全性の面で著しく発展を遂げている.鉄道車両は新幹線のような高速鉄道車両から,在来線や路面電車に至るまで,車輪がレールの上を転がって走行している事から,接触によって周辺への騒音やレールの摩耗などが起きる.車輪やレールに摩耗や疲労が起きると,音だけではなく乗り心地や曲線通過時の車体の挙動などにも悪影響が出る.これらの現象を緩和するためには,車体や道床などを多面的に研究しアプローチしていく必要がある.
直線レール実験装置
本研究は,軌道に着目しバラストと枕木の効果について検討することから,鉄道車両の車輪とレールの接触による転動音の低減や車体およびレールの振動低減に結びつけようとするものである.レール上を車輪が直線運動できる実験装置を作製し,バラストと枕木の配置を変更することから車体やレールに与える影響を調べている.車体の加速度や転動音は,一般にレールの継目部分で発生するため,本研究においても継目部分を作製して実験を行っている.
2.車輪とレールの摩耗特性に関する研究
摩耗痕
鉄道のレールは車輪との接触により摩耗し,進展してレール表面に波状摩耗が発生する.本研究では,直線通過時,曲線通過時等の車輪-レール間の接触について摩耗現象を実験検証することから,車輪とレールの適切な接触状態について検討する.
車輪-レール摩耗試験機
3.水温を利用した発電装置に関する研究
発電装置
近年,地球温暖化,酸性雨,オゾン層の破壊,砂漠化等といった様々な環境問題が深刻化している.また,現在利用されている資源の多くは石油や石炭といった枯渇資源である.このため,枯渇資源を利用せず,環境に負荷を与えないクリーンエネルギーを利用した発電技術が必要とされている.
本研究では,身近なところで発生する温度差を利用することを念頭に,発電装置を製作し,将来的には非常用の電源として使用することを目的としている.
実験装置は,形状記憶合金ばねとステンレスばねの間に磁石を組み合わせたものである.形状記憶合金ばねに温水と冷水を交互に当てることから磁石が往復運動する.今回の実験装置はこの往復運動を利用し,電磁誘導を起こして発電させている.
4.福祉機器用振動発電装置に関する研究
少子高齢化にともない,人的力による介助・介護中心の福祉支援の必要性が増し,何らかの方法でそれらの負担を減少させる必要性がある.
福祉機器は従来よりも小型,軽量化されてきているが,小型,軽量化されるに従って,電動化されバッテリーも小型化,屋外の長時間使用が困難になっている.このことから,何らかの方法で常に電力を供給できる装置を提供する必要がある.そこで,人の歩行による振動を電力に変換できれば改善できるのではないかと考え,振動発電に着目した.
歩行時の振動成分
5.遊星回転する槽内の粒子群の挙動に関する研究
シミュレーション結果
材質や径の異なる2種類の粒子群を槽に入れ,槽を遊星回転させると2種類の粒子群が偏析(分離)する.本研究では,球形粒子を用いた実験とコンピュータシミュレーションから,粒子群の挙動や偏析現象の傾向を調べる.